2ヶ所から給与を受け取っている場合のダブルワークの税金が計算できるシミュレーションツールです。
社保あり、社保なしでタブを分けています。どちらかの職場で社保に加入している場合は社保あり、どちらの職場でも社保に加入していない場合は社保なしで計算してください。
配偶者の社会保険の扶養内で働き、自身では健康保険や年金の加入しない場合は扶養内を選択してください。
※2つの職場で社保の加入条件を満たしている場合の計算はできません。
国民健康保険料は、東京都品川区の保険料率をもとに計算しています。
合計年収100万円以下の場合は住民税を非課税としています。
合計年収130万円以上になると配偶者の社会保険の扶養を外れます。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
ダブルワークの税金計算
2ヶ所から給与を受け取っている場合は、2ヶ所の給与の合計額に対して税金がかかります。
- 年収100万円前後で住民税が課税
- 年収103万円超で所得税が課税
- 年収105.6万円(月8.8万円)以上で社会保険に加入※
- 年収130万円以上で社会保険の扶養を外れる※
- 年収150万円超で配偶者特別控除の金額が減額される
※年収105.6万円の社会保険加入にはその他の条件があります。
※年収130万円を超えても事業主が一時的な収入の増加であることを証明すれば、最大で2年間は社会保険の扶養に入れます。
課税所得を計算する
給与所得=1つ目の収入+2つ目の収入-給与所得控除
2つの給与を合計した金額に対して給与所得控除を計算し、合計収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得になります。
課税所得=給与所得-各種所得控除
給与所得から社会保険料控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除、生命保険料控除などの各種控除を差し引いたものが課税所得です。
給与所得控除の速算表
給与等の収入金額(A) | 給与所得控除額 |
---|---|
~1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円 | (A)×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | (A)×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | (A)×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | (A)×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
2つ以上から給与を受け取っている場合は、合計した収入金額が(A)になります。
所得税の速算表
所得税=課税所得×税率-控除額
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
課税所得に税率をかけて控除額を引いたものが所得税です。
所得税には復興特別所得税が加算されます。復興特別所得税は、東日本大震災の復興のための税金で、平成25年から令和19年まで徴収されます。
所得税額に2.1%をかけたものが復興特別所得税の金額です。所得税が0円なら復興特別所得税はかかりません。
住民税の金額
住民税=課税所得×所得割+均等割
住民税の課税所得を計算する際にも各種所得控除がありますが、所得税の控除額とは若干異なります。
住民税には所得割と均等割の2つがあります。所得割は全国一律で10%です。
所得割 | |
---|---|
都道府県民税 | 4% |
市区町村民税 | 6% |
合計 | 10% |
均等割は、住んでいる地域によって税額が異なりますが、東京都では以下のようになります。
令和6年度以降 | 令和5年度まで | |
---|---|---|
都道府県民税 | 1,000円 | 1,500円 |
市区町村民税 | 3,000円 | 3,500円 |
森林環境税 | 1,000円 | - |
合計 | 5,000円 | 5,000円 |
均等割は5,000円ほどの金額になっている地域が多いです。
税金の計算例
会社A(社保あり):年収:200万円
会社B(社保なし):年収:80万円
合計年収280万円
社会保険料:30万円
所得税1.5万円
住民税12万円
手取り:236万円
会社Aのみが社会保険の加入要件を満たす場合、Aの収入についてのみ社会保険料が徴収されます。合計収入に対して社会保険料を計算するわけではありません。
A社、B社共に社会保険の加入要件を満たす場合は、A社+B社の合計収入に対して社会保険料を計算します。2つの職場で社会保険の加入条件を満たした場合には、届け出を提出する必要があります。
主たる給与と従たる給与
2ヶ所以上から給与をもらっている場合は、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している会社の給与を「主たる給与」として申告しなければなりません。
主たる給与の職場では年末調整を行います。年末調整ができる職場は1ヶ所だけです。
主たる給与以外の給与は「従たる給与」となり、年末調整をしてもらう事はできません。
主たる給与の源泉徴収税額は、源泉徴収税額表の「甲欄」で求め、従たる給与の源泉徴収税額は、源泉徴収税額表の「乙欄」で求めます。
従たる給与についての扶養控除等申告書を提出している場合は、源泉徴収税額表の「乙欄」に記載されている源泉徴収税額から、控除対象扶養親族の控除が受けられます。
給与所得の源泉徴収税額表
毎月の給与からは源泉徴収税が引かれていますが、主たる給与と従たる給与では源泉徴収税の金額が異なります。
主たる給与(甲欄)は月額88,000円未満なら源泉徴収税額は0円です。従たる給与(乙欄)は、給与額に関わらず源泉徴収があり、金額も甲欄より高くなっています。
社会保険の加入条件
2ヶ所から給与を受け取っている場合で、1ヶ所から支払われる給与の年収が105.6万円(月額8.8万円)以上になると、社会保険に加入することになります。
社会保険の加入条件を満たす場合、強制加入となるため、加入を拒むことはできません。
事業所は、以下の全ての条件を満たす場合に、パート・アルバイトでも社会保険に加入させなければなりません。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
- 学生ではない
※2024年10月から従業員51人以上の企業に適用されます
現在は加入条件に会社規模(従業員数)の縛りがありますが、今後は撤廃されて、1人でも従業員を雇っている企業が対象になる可能性があります。
事業所が個人事業主の場合は、常時5人以上の従業員を使用していると社会保険の強制適用事業所となり、4人以下の場合は任意適用事業所となります。
2ヶ所で社保に加入する場合
2つの職場で社会保険の加入条件を満たす場合は、2ヶ所とも社会保険に加入することになります。
A社、B社ともに社会保険の加入要件を満たす場合は、A社+B社の合計収入に対して社会保険料を計算します。2つの職場で社会保険の加入条件を満たした場合には、届け出を提出する必要があります。
年金事務所で手続きし、どちらの会社で保険証を発行するかを選択し、年金事務所で計算した保険料がそれぞれの会社に通知され、それぞれの給与から天引きされます。
A社の月給 | 30万円 |
B社の月給 | 15万円 |
給与の合計額 | 45万円 |
社会保険料の合計額 | 6万円 |
A社の社会保険料 | 4万円 |
B社の社会保険料 | 2万円 |
A社とB社の給与は2:1なので、社会保険料もこの割合で按分します。
B社の給与を月8.8万円未満に抑えればB社で社会保険に入る必要がなくなり、A社の給与のみに対して社会保険料が発生するため、保険料を下げることができます。
社保なしの場合
2ヶ所の職場とも社会保険の加入条件を満たさない場合は、配偶者の社会保険の扶養に入るか、自身で国民健康保険に加入することになります。
どちらの職場でも月8.8万円未満や週20時間以下に抑えれば社会保険に加入する必要はありません。ただし、合計収入が130万円以上になると配偶者の社会保険の扶養からはずれます。
年収130万円で、自身で国民健康保険と国民年金に加入すると手取りが大幅に減るため、年収を130万円未満に抑える人は多いです。これが年収130万円の壁と言われているものです。
配偶者が個人事業主の場合は、社会保険の扶養はないので、年収に関わらず自身で国民健康保険に加入することになります。国民健康保険料の支払いは世帯単位なので、自身や配偶者の収入を合算し、世帯収入に対して保険料が計算されます。
確定申告が必要な場合
2ヶ所以上から給与を受け取っている人は、それぞれの給与からは源泉徴収される形で所得税を支払うことになりますが、確定申告は必要です。
確定申告することで支払う所得税が確定し、既に支払っていた所得税が実際の納税額よりも多い場合は還付金が受け取れます。逆に少なかった場合には納付する必要があります。
- 合計年収が103万円超で年末調整しなかった
- 合計年収が103万円超で副業の年収が20万円超
- 合計年収が103万円超で給与以外の所得が20万円超
- 報酬収入が一定額以上ある
- 2ヶ所以上で年末調整を受けた
年末調整は1つの会社でしかできませんが、税金の計算などは全ての収入をもとに行うため、2ヶ所以上の職場から給与を受け取っている人は確定申告して所得税を計算し直さなければなりません。
給与所得には給与所得控除55万円+基礎控除48万円があるため、合計額の103万円までは所得税がかかりません。そのため、給与の合計収入が103万円以下の場合は確定申告は不要です。
年末調整は1ヶ所の勤務先で実施しますが、間違えて2ヶ所以上の勤務先で年末調整を実施した場合も確定申告が必要になります。
確定申告が不要な場合
2ヶ所以上から給与をもらっていても確定申告が不要な場合もあります。
- 合計収入が103万円以下
- 年末調整を受けていない所得が20万円以下
- 複数の給与所得をまとめて1ヶ所で年末調整を受けた
A社を退職してB社に転職する場合で、引き継ぎなどの関係で一時的にダブルワークになってしまった場合は、A社の源泉徴収票をB社に提出することで2社分まとめて年末調整することができます。
払いすぎた所得税の還付
給料が月8.8万円以上の人は、給与明細を見ると源泉徴収税(所得税)が引かれていると思います。
源泉徴収税で徴収される所得税は、仮の計算で算出した金額なので、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻って来る可能性があります。
確定申告によって納めすぎた税金を戻してもらうものを還付金といいます。1つの職場のみから給与を受け取っている場合は年末調整で還付金が受け取れます。
2ヶ所以上から給与を受け取っている場合は、給与を合算しないと正しい税金額がわからないため確定申告する必要があります。
確定申告の結果、納税額が不足する場合には還付ではなく納税が必要になります。
配偶者控除と社会保険の扶養
所得が95万円を超えると配偶者特別控除の金額が減額されます。給与所得控除が55万円あるので、給与なら150万円を超えなければ満額である38万円の控除が受けられます。
配偶者特別控除が減額される基準である年収は、150万円の壁と呼ばれていますが、150万円を超えても段階的に控除額が下がることや、それ以前に130万円で社会保険上の扶養の壁があるので、150万円の壁を気にしている人は少ないです。
扶養には「所得税上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあり、注意しなければいけないのは社会保険上の扶養の方です。
社会保険上の扶養を外れると、自身で社会保険や国民健康保険に加入しなければなりません。
ダブルワークで扶養内で働くための年収
1ヶ所の収入が105.6万円(月8.8万円)未満 | 社会保険の加入なし |
合計収入が130万円未満※ | 社会保険の扶養に入れる |
合計収入が150万円以下 | 配偶者特別控除が38万円 |
※年収が130万円を超えていても事業主が一時的な収入の増加であることを証明すれば、最大で2年間は社会保険の扶養に入れます。
社会保険の加入条件は収入だけではないので、週20時間以上や会社規模などの条件を満たさないと強制加入にはなりません。
ダブルワークなら1ヶ所から受け取る給与を月8.8万円未満にしておけば大丈夫です。
会社Aから月6万円、会社Bから月6万円のような形であれば、社会保険の加入条件を満たさず、合計収入も130万円以下なので、配偶者の社会保険の扶養に入れます。
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。